冬
底冷えする程の寒さに指先が、耳が、鼻の頭が赤くなる。
心身共に疲れ切った自分を慰める。
酒。
安くていい。
少しだけでも、ふわふわとした良い気分になるからだ。
この世の中に、人間の穢さにうんざり。
大して夢中になる趣味も無く。
寝て、起きて。
飯を食い、愛想を振りまき。
糞をしてまた寝る。
繰り返す。
吐く息が白い。
ああ、そうか。年が明けたんだっけ。
冬だ。
いつだったか。
自分の白い吐息が嬉しくて、はしゃいでいた。
いつからだったか。
自分の白い吐息が、煤けたタールの臭いになっていた。
咥えていた煙草のフィルターが、
じわり。
真ん中から、焦げ茶色に汚れている。
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